2026.2.15
意匠
デザインの「点」ではなく「面」で守る:関連意匠制度で競合の逃げ道を塞ぐ知財戦略
「自社の看板製品を意匠登録したから、これで模倣品は防げる」 と信じたいところですが少し注意が必要です。
意匠権は、特許に比べて「類似」と認められる範囲が比較的タイトに判断される傾向があります。そのため、競合他社が「あなたの製品と少しだけデザインを変えたもの」を自ら出願し、特許庁から「別物(非類似)」として登録を勝ち取ってしまうケースがあるのです。
こうなると、相手の製品を差し止めることは極めて困難になります。この「隙間登録」を許さないために不可欠なのが、関連意匠制度を活用したバリエーションの展開です。
1. 関連意匠制度とは?
関連意匠制度とは、自分の「本意匠(メインのデザイン)」と類似するバリエーションのデザインを、独自の権利として登録できる制度です。通常、自分のデザインと似たものを後から出願すると「自分で自分の首を絞める(新規性・創作非容易性)」ことになりますが、この制度を使えば、一貫したコンセプトの製品群をまとめて保護できます。
2. 「隙間」を埋めて、類似範囲を実質的に広げる
単発の登録(本意匠のみ)では、保護の範囲は「点」でしかありません。しかし、本意匠から少しずつ変化させたバリエーションを「関連意匠」として登録していくと、権利の範囲は「面」へと広がります。
バリエーションの例:
本体の形状は同じだが、開口部の位置やジッパーの構成が異なるもの
ロゴの有無や、表面のテクスチャ(模様)を変えたもの
パーツの比率を少しずつ変えたもの
これらのバリエーションが登録されていると、特許庁の審査官も「この一連のデザインは、この権利者の支配下にある」と判断しやすくなります。結果として、第三者が「少しだけ変えたデザイン」で登録を試みても、関連意匠のいずれかに類似していると判断され、拒絶される可能性が高まるのです。
3. 法改正でさらに強力に:10年間の猶予と連鎖登録
近年の法改正により、関連意匠制度は劇的に使いやすくなりました。
10年間のチャンス: 本意匠の出願日から10年を経過する前日までであれば、後から関連意匠を追加出願できます。製品のマイナーチェンジに合わせて、後から網を広げることが可能です。
関連意匠の関連意匠もOK: 関連意匠に似ている「さらなるバリエーション」も登録できるようになり、デザインの進化を連鎖的に守れるようになりました。
4. 攻めのコストか、守りのコストか
関連意匠を複数出すには、その分出願費用がかかります。しかし、これを「コスト」ではなく「保険」と考えてみてください。
第三者に隙間を突かれ、似て非なる製品の流通を許してしまったあとの損害や、裁判で「非類似」と争うコストに比べれば、最初に関連意匠で「外堀」を埋めておくことの費用対効果は極めて高いと言えます。
結論:デザインの「一族」で市場を支配する
競合他社に「似ているけど別物」と言わせない。そのためには、メインのデザインだけでなく、その「兄弟」や「親戚」にあたるバリエーションまで権利化し、隙間のない陣形を敷くことが重要です。
あなたの会社の「顔」となるデザイン、単発の登録で終わらせていませんか?



