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2026.6.12

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【米国特許】USPTOの新試み「配属前通知」が届いたらどうする?出願人のメリット・デメリットと対応策を徹底解説

近年、米国特許商標庁(USPTO)は審査の効率化と品質向上に向けて様々なパイロットプログラムを打ち出していますが、2026年5月、また新たな注目すべきプログラム「出願人向け配属前通知パイロットプログラム(Applicant Pre-Docketing Notice pilot program)」が発表されました。

米国へ特許出願を行っている日本の事業者の皆様にとって、この通知が届いた際に「何をすべきか」「自社にどんな影響があるのか」を、メリット・デメリットを交えて分かりやすく解説します。

1. 「配属前通知(Pre-Docketing Notice)」とは?

一言で言えば、「あなたの出願案件は、あと約3ヶ月で担当審査官に割り当てられ、いよいよ審査が始まりますよ」という、USPTOからの事前の予告通知です。

対象となるのは、審査順番待ちの状態にある通常の「実用新案非仮出願(utility nonprovisional patent applications)」です。これまでは「いつ審査が始まるか正確には分からない」状態でしたが、この通知により「審査開始のカウントダウン」が可視化されることになります。

2. 通知が届いたら、何を検討すべき?(3つの選択肢)

この通知は、USPTOが「審査官が手をつける前に、最終的なメンテナンスをするチャンスをあげます」という意味で送ってくるものです。通知を受領したら、以下の3つのアクションを検討しましょう。

  1. ステータスの確認・修正

  • 発明者(inventorship)の変更や、企業の合併・譲渡による所有権(ownership)のデータに最新の変更が反映されているか確認します。

  • 予備補正・IDSの提出(審査の円滑化)

  • 日本や他国での審査結果を踏まえ、米国でもあらかじめクレーム(特許請求の範囲)を修正したい場合(予備補正)、あるいは新しく見つかった先行技術文献を提出したい場合(IDS提出)、審査官が案件を見る前に提出することで、無駄な拒絶理由通知(OA)を回避できます。

  • 出願の放棄(取り下げ)と手数料の返金申請

  • ビジネスの状況変化により「この特許はもう不要になった」という場合、審査官に配属される前に速やかに放棄(express abandonment)手続きをすれば、検索手数料(search fee)や超過クレーム手数料(excess claims fee)の返金を受けられる可能性があります。

💡 重要ポイント:何かのアクションは「必須」ではありません。 特に修正や文献追加、放棄の予定がなければ、何もせずそのまま放置して構いません。自動的に約3ヶ月後、通常の審査へ進みます。

3. 出願人にとってのメリット・デメリット

このプログラムは出願人にとって基本的には親切な制度ですが、実務上の留意点(デメリット)もあります。

🟢 メリット(良いこと)

  • 無駄な拒絶理由(OA)とコストの削減 審査官が審査を開始する前に、自発的にクレームを最適な状態に直したり、先行技術(IDS)を出したりできるため、1回目のOAで拒絶されるリスクを減らせます。結果として、対応費用(現地代理人費用など)の節約につながります。

  • 不要な出願の「損切り」と返金 不要になった特許を適切なタイミングで放棄することで、支払った手数料の一部が戻ってくるため、出願管理コストを最適化できます。

  • 社内調整の予測可能性が向上 「あと3ヶ月で米国の審査が始まる」と事前に分かるため、知財部と事業部での予算確保や、対応方針のディスカッションに時間的猶予が生まれます。

🔴 デメリット・留意点(注意すべきこと)

  • 突発的な検討・判断のリソースが必要 通知が届いてから審査官に配属されるまでの期間(約3ヶ月)で、「補正するか、IDSを出すか、放棄するか」の意思決定を急いで行う必要があります。

  • 現地代理人(米国事務所)の費用発生 何かアクション(予備補正、IDS提出、放棄手続きなど)を起こす場合、当然ながら米国の現地法律事務所への手数料が発生します。何も対応しない場合でも、「通知の受領・確認」のレターに対するミニマムな費用が発生する可能性があります。

  • 返金手続きのタイムリミットがシビア 「手数料の返金」を目的として放棄する場合、審査官に配属される「前」に手続きを完了させなければならず、期限管理が厳格になります。

4. まとめ:当事務所からのアドバイス

今回の「配属前通知」は、出願人にとって「審査直前のラストチャンス」を教えてくれる有益なツールです。

日本の事業者の皆様におかれましては、この通知が届いた段階で、

  • 「本当に今も必要な出願か?(維持か放棄か)」

  • 「他国での審査状況を踏まえて、先手を打って直すべきところはないか?(予備補正・IDS)」 を一度クイックに棚卸しすることをおすすめいたします。

当事務所では、米国USPTOからの通知に対する適切な対応方針のご提案や、現地プロクター(米国弁理士)との迅速な連携を通じ、貴社のグローバルな知財戦略を最適化するサポートを行っております。「通知が届いたが、どうすべきか迷う」といった場合、ぜひお気軽にご相談ください。