新規事業の未来 5年後・10年後のビジネスを守り抜く知財の戦略パートナー

福岡を拠点に国内・海外出願から水際対策まで代表弁理士が直接伴走します

お知らせ

2026.5.14

商標

中国

【香港商標】シリーズ商標(Series Mark)とは?実務から見る4つの活用事例と注意点

1. はじめに:香港独自の「シリーズ商標」とは?

香港でのブランド展開において、知っておくべき強力な制度が「シリーズ商標(Series of Trade Marks)」です。

シリーズ商標とは、「商標の主要な特徴が同じであり、識別力のない部分(フォントや色など)のみが異なるバリエーションを、最大4つまで1つの出願として登録できる制度」です。1件分の官庁費用で複数の表示形式をカバーできるため、非常にコストパフォーマンスに優れています。

2. シリーズ商標の賢い活用事例4選

① 繁体字と簡体字の同時保護(最も推奨)

香港・台湾市場向けの「繁体字」と、中国本土やシンガポール向けの「簡体字」は、意味や発音が同じであるためシリーズ商標として認められます。

事例: 「櫻花甜點(繁体字)」と「樱花甜点(簡体字)」

メリット: 中華圏全域での視認性とブランド認知を、1件分のコストで網羅的に保護できます。

② 大文字・小文字の表記揺れ対策

アルファベットのブランド名において、使用状況によって大文字と小文字が混在する場合に有効です。

事例: 「BRAND」「Brand」「brand」

メリット: ウェブサイト、パッケージ、SNSのアイコンなど、媒体に合わせて表記を変えても、すべて「登録商標の正しい使用」として安全に運用できます。

③ スペースやハイフンの有無

単語の区切り方による微細なバリエーションを網羅し、第三者による悪意のある類似商標を防ぎます。

事例: 「SUPER MARK」「SUPER-MARK」「SUPERMARK」

メリット: 記号を足しただけの巧妙な模倣品やフリーライド(便乗)を、より直接的に牽制・排除する強い権利となります。

④ カラー版と白黒(モノクロ)版のセット

ロゴマークなどを出願する際、色彩のバリエーションをまとめます。

事例: 「コーポレートカラーのロゴ」と「同デザインの白黒ロゴ」

メリット: カラー印刷用と、新聞広告や単色印刷用など、実態に合わせた権利保護が可能です。(※色が識別力の核となる場合は対象外となることがあります)

3. 要注意!シリーズ商標で「できない」こと

実務上、非常によくある誤解が「英語(アルファベット)と漢字をシリーズ商標にしたい」というご要望です。

組み合わせ シリーズ商標の可否 理由

繁体字 + 簡体字 🟢 可能 意味が同じで文字のバリエーションに過ぎないため

大文字 + 小文字 🟢 可能 同一の単語であるため

英語 + 漢字 ❌ 原則不可 視覚的(見た目)も称呼(発音)も全く異なるため

英語と漢字を両方守りたい場合は、それぞれ別々に出願して独立した「強い権利」を構築するか、結合商標(1つのロゴ画像としてまとめる)として出願する戦略への切り替えが必要です。

4. まとめ:強い権利が、よいブランドを守る

シリーズ商標はコストを抑えつつ権利範囲を広げる素晴らしい制度ですが、審査官の裁量によって「違いが大きすぎる」と判断されるリスクも伴います。

よいアイデアや素晴らしいブランド名も、自社の使用実態に合致した「強い権利」として確保されていなければ、いざという時にその価値を守り切れません。目先の出願費用だけでなく、将来のビジネス展開を見据えた出願戦略を立てることが重要です。

専門家へのご相談について

当事務所では、香港の現地代理人と連携し、貴社のブランドに最適な知財戦略をご提案します。事実関係の正確な把握と、記録に残るスムーズなコミュニケーションを重視しておりますので、ご相談や無料お見積もりは「お問い合わせフォーム(またはメール)」より、文章にてお気軽にお寄せください。

よくある質問(FAQ)

Q: 香港のシリーズ商標は最大いくつまで含めることができますか?

A: 最大4つのバリエーションまで1つの出願に含めることができます。

Q: シリーズ商標の費用はどうなりますか?

A: 複数のバリエーションを含めても、1クラスにつき1件分の官庁費用(印紙代)で出願可能です。