2026.7.23
著作権
中国
中国での商標登録が困難な場合の対応策 — 著作権登録という選択肢
高まり続ける中国商標登録のハードル
中国における商標登録のハードルは年々上昇しています。特に、日本国内で商標登録済みの漢字を中国でも登録したいというご相談は多いのですが、実際にはほぼ実現が困難です。
理由は単純で、日本語として概念の良い漢字は中国語としても同様に良い意味を持つケースが多く、そうした漢字商標はすでに中国国内で登録し尽くされているためです。
中国商標審査の構造的な問題
ハードルを押し上げているもう一つの要因が、中国の商標審査制度そのものにあります。
日本の商標審査では、拒絶査定に対して意見書や補正書を提出し、反論によって判断を覆す余地があります。しかし中国の制度では、この「反論して覆す」というプロセスがほぼ機能しません。
不服がある場合の手段としては再審査請求(不服申立て)がありますが、これには相応の費用がかかります。多くの企業がこの費用を捻出できず、再審査請求の段階で権利取得を断念しているのが実情です。
仮に再審査請求を行ったとしても、その内容は当初の審査結果を踏襲する傾向が強く、本気で権利化を争うのであれば、行政訴訟による司法判断まで進む覚悟が必要になります。
商標が取れないまま中国進出することのリスク
商標登録に至らなかったからといって、何の権利も持たないまま中国でビジネスを展開するのは、模倣品対策や第三者からの権利主張を受けた際に極めて不利な状況を招きます。
そこで検討したいのが、著作権登録による補完的な保護です。
著作権登録を活用する理由
中国の商標審査において拒絶理由の多くを占めるのが、「先行商標との類似」です。これは同一性の判断ではなく類似性の判断であるため、判断基準に一定の曖昧さが残ります。
裏を返せば、先行商標と同一でない限り、著作権登録によって別の権利基盤を確保しておく余地があるということです。
万が一、第三者から商標権侵害を主張された場合でも、こちらに著作権という権利があれば、防戦一方にならず、交渉の土台を作ることができます。実際、この手法は中国国内の企業間でも一般的に用いられています。
交渉が決裂し訴訟に至った場合も、商標権侵害の該当性は行政審査のような画一的な判断ではなく、現実の混同惹起の有無を個別具体的に審理する枠組みで判断されます。この点も、著作権登録という選択肢の実務的な価値を裏付けています。
中国の著作権登録制度の実務的メリット
中国の著作権登録制度は、日本と比べてシステム化が進んでいます。申請後、一定の審査を経て登録に至り、登録までの期間はおおむね1ヶ月半程度です。
このスピード感は、現地企業と著作権を基礎とした契約を早急に締結したいという場面でも実務上有用です。
実務上の留意点 — 創作完成日の証明
今回の著作権登録の実務において特に注意を要したのが、創作完成日の証明です。創作完成日を古い時点に設定するほど、それを裏付ける客観的な資料の確保に慎重な対応が求められます。
まとめ
中国での商標登録が困難な状況が続く中、著作権登録は商標権の代替ではなく、権利の空白を補うリスクヘッジ策として有効に機能します。中国進出や商標出願でお困りの際は、当事務所までご相談ください。
