【緊急】税関から知的財産権の「認定手続開始通知書」が届いたら?今すぐやるべきこと海外から商品を輸入した際、税関から「知的財産権(特許権、商標権など)を侵害する疑いがある」として、「認定手続開始通知書」が届くケースが増えています。麻薬や拳銃と違い、知的財産の侵害判断は非常に高度で専門的です。税関の判断が正しいとは限りません。しかし、何もしなければ、あなたの貨物は没収・廃棄されてしまいます。さらに怖いのは、一度「侵害品」と認定されると、その情報が税関に残り、今後の輸入時にも厳しい検査対象となる可能性があることです。故意の模倣品でない限り、諦めてはいけません。通知書が届いたら、一日でも早く貨物を通関させるため、迅速かつ適切な対応が必要です。まず認識すべき大原則:時間との勝負放置は厳禁: 貨物は没収・廃棄されます。反論は可能: 税関の判断は暫定的なもの。専門家(弁理士など)の助けを借りて反論する余地は十分にあります。損失の拡大: 認定手続中は通関がストップします(最低1ヶ月)。対応が遅れるほど、ビジネス上の損失は拡大します。輸入者が選択できる具体的な対応策通知書が届いた場合、以下の選択肢を迅速に検討・実行する必要があります。1.侵害していないと主張し「通関」を目指す最も正攻法であり、積極的に貨物の輸入許可を求める方法です。意見・証拠の提出(必須のアクション)貨物が知的財産権を侵害していないことを、法律的・技術的に主張します。主張内容の例: 並行輸入品であることの証明 権利そのものが無効である理由(無効理由の存在) 技術的に権利の範囲外であること(特許権・意匠権など) 説得力のある主張のため、弁理士が作成した「鑑定書」を提出するのが一般的です。並行輸入の証明 正規代理店ルート以外で輸入した「本物」であることを証明します。 注意点: 通知書が届いてから約2週間以内という短期間で、海外の取引ルート(インボイスなど)を遡って証明資料を提出する必要があります。特許庁長官等への意見照会特許権、実用新案権、意匠権について、技術的な判断(権利範囲に含まれるか否か)が争点の場合、輸入者から特許庁長官などに専門的な意見を求めるよう申請できます。2.権利者(相手方)の動きに対応する権利者も税関に対してアクションを起こしてきます。それに対して適切に対応します。見本検査の立ち会い権利者が貨物の見本検査(分解、分析など)を申請し、承認された場合、輸入者も申請によりその検査に立ち会うことができます。見本検査承認申請に対する意見権利者からの見本検査申請に対し、輸入者は意見を述べることができます。意見の例:「見本検査(分解など)は不要で、外観確認で十分だ」「検査により当社の営業秘密が権利者に漏洩し、不当な損害を被る」「権利者による見本の管理体制に不安がある」3. 貨物を早期に確保するための「代替手段」通関開放の請求対象: 特許権、実用新案権、意匠権の場合に限られます。認定手続中に、権利者が被る損害を担保するための供託金(目安:課税価格の20%)を積むことで、暫定的に貨物の輸入許可を求める制度です。輸入同意書の取得権利者と直接交渉し、「輸入同意書」を取得して税関に提出します。これができれば、侵害の有無にかかわらず輸入が認められます。4. 貨物を国内に入れない(または一部を放棄する)積戻し(外国への返送)権利者の同意を得て、貨物を保税地域から外国へ送り返します(輸出します)。最重要注意点: 商標権・著作権侵害と「認定された」後は、積戻しが一切認められません。認定手続が完了する前に行う必要があります。侵害部分の切除商標(ロゴ)など、侵害している部分だけを除去・廃棄(任意放棄)することで、残りの部分の輸入が認められる場合があります。5. 税関の最終判断に異議を唱える不服申立て税関が「侵害する」と最終的に認定(処分)した場合でも、その決定に不服があれば、税関長への異議申立てや、裁判所への取消訴訟を提起することができます(期間制限あり)。結論:今すぐ知的財産の専門家(弁理士)へ相談を税関の輸入差止(認定手続)は、回答期間が非常に短く、法律・技術の両面で高度な専門性が求められます。「認定手続開始通知書」が届いたら、一刻も早く弁理士などの専門家に相談し、どの対応(鑑定書の作成、並行輸入の証明、権利者との交渉など)が自社にとって最適か判断を仰ぎ、迅速に行動することが損失を最小限に抑える鍵となります。