2025.11.27
商標
中国
【2025年最新版】「名前を買い戻せば解決」はもう古い?中国商標・冒認出願の“手口”が凶悪化している現実
はじめに:知らぬ間に「標的」にされているかもしれません
「中国で自社のブランドが勝手に商標登録されていた」 「高額な買い取りを要求された」
中国ビジネスにおいて、このような「冒認出願(スクワッティング)」の話は、もはや耳新しいものではないかもしれません。多くの日本企業が、「有名になったら気をつけよう」「取られたら買い戻せばいい」と考えている節があります。
しかし、2025年現在、その認識は非常に危険です。
中国当局による規制強化の裏で、悪徳業者たちの手口は「単なる金銭要求」から、「法律を悪用した執拗な嫌がらせ」や「ビジネスの破壊」へと、極めて陰湿かつ高度に進化しているからです。
本記事では、日本企業が知っておくべき中国商標トラブルの「最新トレンド」と、今すぐ打つべき対策について解説します。
1. 手口の変化:「待ち伏せ」から「攻撃」へ
かつての冒認出願は、単純に「人気が出そうな名前を先に登録し、本家が来たら高く売りつける」という待機型が主流でした。
しかし現在は、正規の権利者(日本企業)に対して、業者側から積極的に攻撃を仕掛ける攻撃型が増えています。
① 「不使用取消審判」の悪用(逆ギレ攻撃)
日本企業が正当に商標を持っていても、業者は「御社はこの商標を3年間使っていないですよね?」と難癖をつけ、商標の取り消しを請求(不使用取消審判)してきます。 日本企業側は、これに対抗するために膨大な「使用証拠(契約書や領収書など)」を整理・翻訳して提出せねばならず、数百万円単位の弁護士費用と手間がかかります。業者は、この「面倒な手続き」を取り下げる条件として金銭を要求してくるのです。
② 「ゾンビ出願」による消耗戦
仮に日本企業が裁判で勝っても、業者は諦めません。判決が出る直前に、親戚や別会社の名義を使って全く同じ商標を再出願します。 審査には時間がかかるため、日本企業の権利はいつまでたっても確定せず、その隙間を縫って模倣品を販売したり、権利行使を妨害したりします。まさに「ゾンビ」のように何度でも蘇る手口です。
2. 狙われる「越境EC」と「AI・テック」
「うちは中国に工場も店舗もないから大丈夫」と思っていませんか? 実は今、最も狙われているのが「現地法人を持たない企業」です。
越境EC(Amazon、Temu、Douyinなど)での通報テロ
中国のECサイトや、中国セラーがひしめくAmazon等のプラットフォームで、日本企業の商品が人気化すると、即座に中国国内で商標を抑えられます。 その後、業者は「この日本企業は私の商標権を侵害している」とプラットフォーム側に通報。 これにより、本家の日本企業のアカウントが凍結されたり、商品ページが削除されたりする被害が多発しています。
AI関連用語の爆速先取り
AIやWeb3などのトレンド用語は、サービス発表から数日以内に中国で出願されるケースがあります。2024年から2025年にかけては、AI関連の名称が大量に狙われました。スピード勝負において、日本企業の決裁スピードでは間に合わないケースが増えています。
3. 当局も「警察」と連携して本腰を入れています
暗いニュースばかりではありません。中国政府もこの状況を重く見ています。
2025年11月、中国国家知識産権局(CNIPA)は公安部(警察)と連携し、「悪質な代理行為の徹底取り締まり」を発表しました。 これまでのような行政処分(罰金)だけでなく、悪質な業者やそのバックにいる代理人を「刑事事件」として逮捕・立件する動きが始まっています。
これは「浄化」への大きな一歩ですが、裏を返せば「警察が出張るほど、状況が悪化している」ということでもあります。生き残っている業者は、より法の抜け穴に詳しい「プロ」である可能性が高いのです。
4. 日本企業が今すぐすべき「3つの防衛策」
高度化した攻撃から身を守るために、以下の3点は最低限の「経営リスク管理」として実施してください。
先手必勝(発表前の出願) 「中国で売れるかわからないから」と様子見をするのが一番のリスクです。商品名やブランド名をプレスリリースする前に、中国での商標出願を済ませてください。コストは数万円ですが、トラブル対応費は数百万円になります。
「使用証拠」の保存(3年ルールへの備え) 万が一、「使っていない」と言いがかりをつけられた時のために、中国への輸出インボイス、契約書、パンフレット、展示会の写真などを、必ず3年ごとに整理して保存してください。「中国でビジネスをしている証明」こそが最強の盾になります。
定期的なモニタリング 自社のブランド名が勝手に出願されていないか、定期的にチェックしましょう。出願公告の段階(登録される前)であれば、異議申立で比較的安価に潰すことができます。
まとめ
中国の商標問題は、もはや「運が悪かった」で済まされる話ではありません。
「名前を取られる」だけでなく、「ビジネスそのものを妨害される」リスクがあることを認識し、知財部任せにせず、経営課題として対策を講じることが重要です。
もし、「自社の商標が心配だ」「中国進出を控えているが何からすればいいかわからない」という場合は、中国知財に詳しい弁理士や専門家へ早急にご相談されることをお勧めします。



