海外で商標権を取得する際、「指定商品・役務」をどのように決めていますか? 「日本で出願した内容をそのまま英訳して出願する」 実は、この従来通りのやり方が、今、「思わぬ高コスト」や「無用な拒絶」を招く原因になっています。2025年に入り、世界各国で「既定リスト(Standard List)」の重要性が急速に高まっています。今回は、主要国(ブラジル・米国・中国)の最新事情をもとに、海外商標出願で失敗しないためのポイントを解説します。1. 「自由記述」が高くつく国:ブラジル・米国近年、審査の自動化を進めるため、特許庁が用意した既定リストを使わずに「自由記述(Free-form)」を行うと、ペナルティとして高額な追加料金を課す国が増えています。■ ブラジル(2025年9月〜)ブラジルでは料金体系が抜本的に改革されました。既定リスト使用:約 190 USD自由記述使用:約 370 USDリスト外の記述を使うだけで、費用が約2倍になります。 新制度では出願時の費用に「登録料」が含まれるようになったため、既定リストを使えばトータルコストは以前より安く抑えられます。逆に言えば、自由記述を使うメリットはコスト面で完全に失われました。■ 米国(2025年1月〜)米国でも2025年から新しい料金体系がスタートしています。既定リスト使用:350 USD自由記述使用:550 USD(基本350 USD + 追加料金200 USD)独自の記述を1つでも入れると、1区分あたり200ドル(約3万円)もの追加料金(Surcharge)がかかります。複数区分で出願する場合、この差額は無視できない金額になります。2. 「自由記述」が通らない国:中国一方で、費用の問題ではなく、「そもそも審査に通らない」という理由で既定リストが必須となるのが中国です。■ 中国(CNIPA)中国の庁費用は、記述方法による違いはありません。しかし、実務上は既定リスト(類似群コードに対応した標準名称)の使用がほぼ「必須」です。中国商標局(CNIPA)は、指定商品の記載に対して極めて厳格です。日本独自の概念や、英語の直訳で作成した「自由記述」で出願すると、内容が明確であっても「標準名称ではない」という理由だけで補正指令(拒絶)が出されるケースが多発しています。これにより、対応費用の発生や審査の遅延、最悪の場合は再出願が必要になるリスクがあります。中国においては、「現地のリストにある表現に当てはめること」が、最短・最安で権利を取るための絶対条件なのです。まとめ:翻訳ではなく「適合」がカギこのように、海外出願においては「日本と同じ内容を翻訳して出す」というアプローチはリスクが高まっています。ブラジル・米国・豪州: リストを使わないと費用が高くなる。中国: リストを使わないと拒絶される。当事務所では、単に日本語を英語に翻訳するのではなく、「各国の既定リスト(ID Manual等)の中から最適な表現を見つけ出し、無駄なコストとリスクを回避する」アプローチを標準としています。海外商標出願をご検討中の企業様は、ぜひ一度ご相談ください。最新の各国ルールに基づいた、最も賢い出願戦略をご提案いたします。